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Interview

周年企画第2弾!CTVプロデュースの「うなぎむすび」が販売中! 商品開発の舞台裏

愛知県のバスケB.LEAGUEトーナメント大会「AICHI CENTRAL CUP2024」に続き、55周年企画の第二弾として実現したのが、11月3日から名古屋駅の『美濃味匠』で発売している「うなぎむすび」だ。CTVプロデュースの「うなぎむすび」は、天むすスタイルのうなぎのおにぎりが4個入りで、価格は1000円。テイクアウトのうな重よりもお値打ちで、ワンハンドで食べられるカジュアルさが魅力だ。「なぜうなぎ?」「なぜおむすび?」「なぜTV局が食品を??」素朴な疑問を担当者にズバリぶつけてみた。

ビジネスプロデュース局 イベント・スポーツ事業グループ 古川琢也
55周年企画で「うなぎむすび」を立案し、商品化を実現。
ビジネスプロデュース局 ビジネス開発グループ 石田誠二
新規事業としてブランド「新名古屋名物」の開発を統括。

55周年企画×「新名古屋名物」プロジェクトのハイブリッド企画

放送外収益の手段として、ビジネスプロデュース局はメタバース空間やドローンといった事業を展開している。今回の「うなぎむすび」は、番組とのタイアップといったIP活用ではなく、ゼロから商品を開発するという試みだ。

古川

発案のきっかけは、ビジネスプロデュース局に異動したタイミングで55周年企画がスタートしたことです。CTVの新規事業として、どのような商品やサービスが考えられるか。喫茶店や個室サウナなど様々なアイデアが出る中で、具体的に動けそうなものに落とし込んで企画し、採用されたのが「うなぎむすび」です。

うなぎにフォーカスしたのは、名古屋らしい定番土産を作って地域を盛り上げたいという思いからです。様々な「なごやめし」はあるものの、名古屋はお土産の選択肢が少ないです。ひつまぶしが名物で「愛知=うなぎ」の認知は高いため、天むすのように、うなぎをワンハンドで食べられるお土産にしてはどうかと考えました。

石田

またビジネス開発グループでも様々な商品開発プロジェクトを走らせており、新名古屋名物というくくりで一本化できるものを集約しました。そして商品開発プロジェクトの中で、「うなぎむすび」がその第一弾となりました。

全く未知の食品製造にゼロから取り組む

新規事業は、ノウハウやたたき台が少ないものだ。原料調達から商品化まで、どのような経緯で進んでいったのだろうか。

古川

まず、三河一色のうなぎの養殖業者から話を聞きました。うなぎの需要が高まる土用の丑の日は年に4回あるものの、需要のピークは圧倒的に夏です。うなぎの養殖は1年かけて行いますが、年に一度は水抜きしてメンテナンスする必要があるとのことで、夏のピーク時を避ければ、質の良いうなぎが手に入りやすいことがわかりました。

うなぎの仕入れルートは比較的スムーズに確保した古川さんだが、原材料だけでは商品化できない。誰が作るか、どこで売るか、全く手探りの状態だったという。

古川

お土産として手に取ってもらいたいわけですから、まずは名古屋の玄関口である名古屋駅周辺で製造販売を委託できる店舗を探しました。ところが、コンセプトには共感してもらえるものの、販売手数料やコストの問題で割に合わず、なかなか具体化しにくいと答えられるのが現実でした。地道にアポイントを取り続け、名古屋駅の新幹線口に店舗がある人気惣菜店『美濃味匠』さんとタッグを組めることになりました。美濃味匠さんとしても新たな販売手法を模索していたタイミングだったそうで、「難しいけれど挑戦してみたい」と、協力を決断してくれました。

亀島にセントラルキッチンがある『美濃味匠』は、現場と連携しながらのリアルタイムな製造が可能で、商品は連日ほぼ完売するという。名古屋駅での販売ノウハウも豊富な強い味方だ。

古川

私たちが想定していた「うなぎむすび」は、天むすの海老天をそのままうなぎに変えたイメージです。『美濃味匠』さんでは実際に天むすも作っているのですが、あの形状は手握りの工程が必須で、意外と手間がかかります。「うなぎむすび」のために、売れ筋である天むすの生産量を削るわけにはいきません。そのため、工程の一部を機械化するために軍艦巻きのようなスタイルを提案されたのですが、それでは小さくてボリュームがなく、満足感に欠けます。試行錯誤を重ねて「やはり、手握りのスタイルは譲れない」と、無理をお願いして実現に至りました。

1匹のうなぎがおにぎりとしてパッケージングされ、棚に並ぶまでには複雑な工程を経る。古川さんは、食品製造というものづくりの現場で様々な知見が得られたと話す。

古川

テレビ局と食品製造では共通言語がなく、新しい発見だらけでした。例えば、原価の計算方法ひとつとっても、私たちは当初、生のうなぎの重量で計算していたのですが、製造サイドではうなぎをさばき、焼いて脂や水分が落ちた蒲焼の重量で計算することが後でわかりました。テレビ局の業務とはまた違って、食品製造の現場では、キッチンでの工程や流通に至るまで緻密にコスト計算をして製造され、私たちの手元に届けられていることを実感しました。今では、店に並んでいる商品を手に取るたびに、その製造と流通の過程に思いを馳せるようになりました。

ブランド「新名古屋名物」が走り出す

11月3日に販売開始された「うなぎむすび」は、『ぐ~たくさん』での3週連続OAなど、制作からのバックアップも得てスタート。『美濃味匠 mozoワンダーシティ店』でも期間限定で販売する。気になる今後の展開について訊ねた。

古川

1日平均200食、1ヶ月で6000食、3ヶ月で1万8000食を販売予定で、3ヶ月分のうなぎの手配は済んでいます。名古屋駅で買えるお土産の定番商品となるべく、この先も知名度を上げていきたいです。

石田

パッケージには、〝ささしま〟をイメージした家紋のようなロゴを作ってもらいました。これからリリースする新名古屋名物の共通ロゴとなります。新名古屋名物の開発を一緒に手掛けてくれる企業の募集をかけられるくらい、ブランドとして盛り上がっていくのが目標です。

「笹」と「島」をイメージした新ロゴマーク

古川

今回の企画を通して、アナログな部分が多い一次産業に、CTVが新規事業として参入していく可能性はあると感じました。実際、鹿児島にはエビの養殖に着手してマネタイズに成功しているローカル局があります。一次産業も視野に入れて、新規事業の未来を探っていきたいです。

新名古屋名物プロジェクトでは、11月下旬からは期間限定でサラダをリリース予定だ。新たな名物に加えて、新たな産業への展開の兆しも見えてきた。

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